建設現場でドローンを飛ばす前に確認したい「ドローン保険」の基礎知識

建設現場でドローンを飛ばす前に確認したい「ドローン保険」の基礎知識
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橋梁や高架橋の点検、大規模工事の進捗撮影、急傾斜地の地形測量——建設・土木業界でのドローン活用は、ここ数年で急速に現場に浸透してきました。

一方で、「ドローンに保険をかける」という意識は、まだ十分に広まっていないのが実情です。

損害保険の専門資格を持つFPとして建設業の企業保険相談に携わってきた経験から言うと、建設現場でのドローン事故は「機体が壊れる」だけでは終わらないことが多く、隣地・通行人・現場作業員への損害が重なるケースも想定されます。

「入っていなかった」では済まされないリスクが、建設業のドローン運用には潜んでいます。

この記事では、建設業の実務に即した視点で、ドローン保険の仕組み・補償内容・選び方を丁寧に解説します。

【この記事でわかること】

  • 建設業におけるドローン保険の基本的な仕組みと2つの補償の柱
  • 補償対象となる可能性がある主な損害・費用の種類
  • 補償されない可能性があるケースと加入前の確認ポイント
  • 建設業特有の事故・トラブル事例と保険で確認すべきポイント
  • 工事保険・賠償責任保険との違いと補償の重複・抜け漏れの確認方法
目次

ドローン保険とは?建設業の実務で押さえておくべき基本の仕組み

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「ドローン保険」とは

業務や事業でドローン(無人航空機)を使用する法人・事業者が、機体そのものの損害リスクと、ドローンの飛行中に起こりうる第三者への賠償責任リスクに備えることを目的とした保険の総称です。

建設業の場合、ドローンは「高所・危険箇所・広大な敷地」という、特にリスクが集中する環境で使われます。

そのため、一般的な動産保険や企業向け賠償責任保険だけでは、建設現場特有の事故に対応しきれない場合があります。

まずは補償の2本柱を理解することが、適切な保険選びの第一歩です。

1|機体の損害を補償する保険(動産総合保険)

機体に関する補償の中核となるのが、「動産総合保険」と呼ばれるタイプです。

「動産(動かせる財産)」であるドローンに生じた、不測かつ突発的な事故による損害を補償します。

建設現場での墜落・構造物への衝突・落雷・盗難など、様々な事故で機体が損傷・全損した場合に、修理費用や損害額に応じた保険金の支払い対象となる可能性があります。

保険金額は機体の時価額を基準に設定するのが一般的で、産業用ドローンは高額な機体も多いため、補償内容が実態に見合っているかを確認することが特に重要です。

なお、総重量150kg未満(燃料・薬剤・機器等をすべて搭載した状態での重量)の産業用ドローンが補償対象となるのが一般的ですが、レジャー用や曲技用のドローンは対象外とされているケースがあります。

ファイナンシャルプランナー

また、燃料・薬剤などは機体とは別扱いとなり、保険の対象に含まれないことが多い点も覚えておきましょう。

2|第三者への賠償責任を補償する保険

建設業でドローンを使う場合、特に注意が必要なのが賠償責任リスクです。

ドローンの所有・使用・管理に起因して、第三者の身体や財物に損害を与えてしまった場合、法律上の損害賠償責任を負うことになります。

民法第709条(不法行為責任)・民法第715条(使用者責任)に基づく賠償責任が問われる可能性があり、建設現場の場合は隣地の構造物・資材・近隣住民への損害まで複合的に発展するケースが想定されます。

この賠償リスクをカバーするのが、施設賠償責任保険や、機体保険に付帯する賠償責任担保特約です。

なお、賠償責任を補償するタイプの保険は、記名被保険者が事業者であることが条件となる場合が一般的です。

ファイナンシャルプランナー

下請け会社・協力業者など、複数の事業者が関わる建設現場では、誰を被保険者として設定するかも重要な確認ポイントになります。

建設工事保険・請負業者賠償責任保険との違いは?

建設業者がすでに加入していることの多い「建設工事保険」や「請負業者賠償責任保険」は、施工中の工事目的物や工事に関わる賠償責任を補償するものです。

しかし、これらの保険では「ドローン機体そのものの損害」や「ドローン飛行に起因する第三者への損害」が補償対象外となることがあります。

「工事保険に入っているから大丈夫だろう」と思っていたら、ドローン絡みの事故では補償が受けられなかった。

というケースが弊社にご相談いただく建設事業者の中にも見受けられます。
既存の保険でカバーできていない範囲を把握することが、ドローン保険を検討する出発点です。

なぜ今、建設業でドローン保険の必要性が高まっているのか

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結論から言うと、建設業でのドローン活用が広がるほど、機体損傷リスクと第三者への賠償リスクは増大し、事業継続に直接影響する事態となりえます。

その背景を、建設業特有のリスク環境から見ていきましょう。

建設現場はドローン事故が起きやすい環境

建設現場という環境は、ドローン事故のリスクが特に集中しやすい場所です。

  • 上空にはクレーンや足場・電線といった障害物が多く、接触・衝突のリスクが高い
  • 現場には作業員・協力業者・通行人など、多くの人が行き来している
  • 隣地には既存の建物・駐車車両・インフラ設備が密集している現場がある

国土交通省が推進する「i-Construction(建設現場の生産性向上)」の施策によって、建設業でのドローン活用は政策的にも後押しされています。

点検・測量・進捗管理などの場面でドローンを使う機会が増えるほど、「1回の事故で企業の信用と財務に大きなダメージを与えかねないリスク」も比例して大きくなります。

発注元・ゼネコンから保険加入証明を求められるケースが増加

弊社にご相談いただいた建設業者の方の中には、「ゼネコンや官公庁への入札要件として、ドローンの賠償責任保険への加入と、支払限度額の証明を求められた」というケースが複数ありました。

近年、公共工事や大型民間工事の現場では、ドローン使用時の保険加入が入札条件・施工管理要件に含まれるケースが出てきています。

保険未加入のまま受注できない、あるいは加入していても補償限度額が要件を下回って証明書を発行できない——そうした事態を避けるためにも、事前の確認が欠かせません。

一件の事故が企業経営に与えるダメージ

建設現場でのドローン墜落事故が対人事故に発展した場合、治療費・慰謝料・逸失利益などを合わせると賠償額が数百万〜数千万円規模に達することも想定されます(実際の賠償額は事故の状況・裁判例等によって異なります)。

加えて、弁護士費用・示談交渉費用・事故後の調査費用なども発生します。

特に中小の建設業者にとって、こうした突発的な費用負担は事業の存続を揺るがしかねません。

ファイナンシャルプランナー

ドローン保険は、「もしものときに事業を続けられるか」を支える備えのひとつと考えることができます。

建設業のドローン保険で補償対象となる可能性がある主な内容

補償対象となるかどうかは、契約内容・約款・事故の状況によって異なります。

以下は、一般的に補償対象となる可能性がある内容を整理したものです。
実際の補償の可否は、加入している保険の約款を確認のうえ、専門家や保険代理店にご相談ください。

機体に関する主な補償内容

補償の種類内容建設業で想定されるケース
機体の損害(損害保険金)不測かつ突発的な事故により機体に生じた損害額(修理費・時価額)が対象となる可能性がある足場や鉄骨への衝突、操縦ミスによる墜落・大破、落雷による損傷など
盗難保管中の機体が盗まれた場合、損害額が対象となる可能性がある工事事務所・仮設倉庫からの機体盗難など
火災・落雷・雪災・雹(ひょう)災自然現象や突発的な原因による損害が対象となる場合がある現場仮設事務所での火災による機体焼損、雹(ひょう)による機体損傷など
捜索・回収費用使用中に行方不明となった機体の捜索・回収に要した費用(交通費・宿泊費・委託費等)が対象となる可能性がある工事現場周辺の山林・河川敷での機体ロスト時の捜索費用など
代替機のレンタル費用(オプション)機体修理中の業務継続のために代替機をレンタルした費用が対象となる場合がある点検・測量業務の継続のため修理期間中に代替機を手配したケースなど
操縦訓練費用(オプション)事故後の再発防止のために実施した操縦訓練の費用が対象となる可能性がある事故を起こした現場オペレーターへの再訓練・安全講習費用など
再発防止策の策定支援費用事故原因の究明・再発防止策の策定を専門業者に依頼した費用が対象となる場合がある事故報告書の作成・安全管理体制の見直しコンサルティング費用など

賠償責任に関する主な補償内容

補償の種類内容建設業で想定されるケース
対人・対物賠償(法律上の損害賠償金)第三者の身体や財物に損害を与え、法律上の賠償責任を負った場合に対象となる可能性がある飛行中の機体が落下し現場外の通行人にけがを負わせた、隣地建物の外壁を損傷したケースなど
争訟費用(弁護士費用等)賠償問題に関する示談交渉・調停・訴訟にかかった弁護士費用等が対象となる場合がある隣地所有者や通行人から損害賠償請求を受け弁護士を立てたケースなど
損害防止費用・緊急措置費用損害の拡大を防ぐために取った緊急措置にかかった費用が対象となる可能性がある墜落現場の立入禁止措置・二次被害防止のための応急対応費用など

これらの補償はいずれも、契約内容・約款の定め・事故の状況によって支払いの可否や金額が変わります。

ファイナンシャルプランナー

実際の補償範囲については、必ず保険証券や重要事項説明書をご確認ください。

注意が必要——補償されない可能性が高いケース

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どんな保険にも補償の対象外となる損害があります。
建設業でのドローン運用において、特に注意が必要な免責事由を整理しました。

故意・重大な過失・法令違反による損害

保険契約者や被保険者が故意に引き起こした事故、または重大な過失や法令違反に起因する損害は、補償対象外となります。

たとえば、航空法上の禁止空域での無許可飛行中の事故、機体登録を行っていない状態での飛行中の事故などは、補償が受けられない可能性があります。

2022年の航空法改正により、100g以上のドローンは機体登録が義務化されており、建設業でよく使われる産業用機体は当然この対象となります。

機械的・電気的な故障による損害

操縦ミスや外部からの衝撃ではなく、モーターの内部故障・電気系統のトラブルなど、機械的・電気的事故による損害は補償対象外とされることが多い傾向にあります。

また、回転翼(ブレード)に単独で生じた損害も対象外とされるケースが見受けられます。
長期間使用した機体のメンテナンス管理も、保険を有効に機能させるうえで重要な要素です。

自然の消耗・経年劣化による損害

機体の経年劣化、さびやかびの発生、素材の変質・変色など、通常の使用に伴う経年変化が原因の損害は補償対象外です。

建設現場という過酷な環境でドローンを使い続けると、機体の消耗は早まりやすく、メンテナンス記録の保管が事後的に重要な意味を持つことがあります。

地震・水災などの特定の自然災害

地震・噴火・津波による損害、洪水・高潮・土砂崩れ、水災など、自然災害による損害は一般に補償対象外とされています。

河川工事・海岸・山岳地帯など水災リスクが高い環境での使用が多い場合は、別途確認が必要です。

建設工事保険との補償の「すき間」に注意

「建設工事保険で現場のリスクはカバーされている」と思っていても、ドローン機体そのものの損傷や、ドローンの飛行が直接原因となった第三者への賠償が「工事保険の補償対象外」とされているケースがあります。

二重に払っていないか、逆に漏れがないかを確認するには、既存の保険証券を手元に置いて、補償の対象となる財物・業務の範囲を確認することが第一歩です。

保険会社への通知を怠った場合

機体の台数が増えた、新たな工種・現場への展開があった、協力業者が操縦を担うようになったなど、契約内容に影響する変更が生じた場合、速やかに保険代理店または保険会社へ通知する義務(通知義務)があります。

通知を怠った場合、事故時に保険金が支払われない可能性があります。

また、保険金請求権には時効(一般に3年)がありますので、事故後は早めに手続きを行ってください。

建設業でこんな事故が起きたら?リアルな事例で補償内容を確認

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建設現場でのドローン活用場面を想定した、具体的なトラブル事例を見ていきます。

補償されるかどうかは契約内容・事故状況によって異なります。あくまで参考として確認してください。

事例1:高架橋点検中に機体が落下し、通行人に接触したケース

道路維持管理会社が、高架橋の外壁ひび割れ点検にドローンを使用していたところ、通信エラーで機体が制御不能となり、橋の下の歩道に落下してしまいました。

たまたま歩行者が通りかかっており、軽傷を負わせる事態となりました。

このケースでは、第三者への対人賠償リスクが発生しています。

賠償責任保険で補償対象となる可能性がある一方、弁護士を介した示談交渉の費用(争訟費用)も関わる場合があります。

「管理する橋梁の点検中の事故」として請負業者賠償責任保険で対応できると考えていた場合でも、ドローンの飛行に起因する事故については別途確認が必要な場合があります。

保険で確認すべきポイント

ドローン飛行中の対人事故が賠償責任保険の補償対象に含まれているか、支払限度額は十分か

事例2:工事現場の測量中に機体が足場に衝突し全損となったケース

戸建て住宅の建て替え工事を施工する工務店が、工事の進捗記録と敷地測量のためにドローンを飛行させていたところ、急な突風に煽られた機体が仮設足場に激突し、機体が大破しました。

修理不能と判断され、新たな機体の購入が必要となりました。

機体に関する動産保険で不測かつ突発的な事故による損害として対象となる可能性があります。

ただし、損害保険金は一般に機体の時価額(購入価格から経年消耗を差し引いた額)が基準となるため、購入価格の全額が支払われるわけではない点を覚えておきましょう。

代替機のレンタル費用補償を付帯していれば、修理・買い替えまでの間の業務継続費用も対象となる場合があります。

保険で確認すべきポイント

保険金額が機体の現在の時価額に合っているか、代替機レンタル費用補償の有無

事例3:隣地の建物外壁にドローンが接触し損害が発生したケース

既存ビルの改修工事を請け負った建設会社が、外壁の劣化状況確認のためにドローンで撮影を行っていたところ、操縦ミスにより隣接する建物の外壁に機体が接触し、外壁タイルが破損してしまいました。

隣地所有者から修繕費用の請求が届きました。

第三者の財物への損害(対物賠償)として、賠償責任保険の対象となる可能性があります。

建設現場では隣地との距離が近いことが多く、こうした対物事故リスクは特に注意が必要です。

ただし、「記名被保険者が所有・管理する財物への損害」は賠償責任保険の補償対象外となることが多いため、誰の財物が損傷を受けたかによって対応が変わります。

保険で確認すべきポイント

隣地建物への対物賠償が補償対象に含まれているか、自社が管理する財物との区別

事例4:ダム工事の山間部で機体がロストし、捜索費用が発生したケース

ダム補修工事を施工するゼネコンの協力会社が、山間部の現場で地形測量にドローンを使用中、通信が途絶えて機体の所在が不明となりました。

専門業者に捜索を依頼したところ、交通費・宿泊費・捜索委託費用を合わせると相当額の費用が発生しました。

機体の所在が特定できない状態での「行方不明」そのものは補償対象外となることが多い一方、捜索・回収のために実際に支出した費用については、捜索費用補償が付帯されていれば対象となる可能性があります。

山岳・ダム工事など遠隔地での飛行が多い事業者は、この補償の有無を事前に確認しておくと安心です。

保険で確認すべきポイント

捜索費用補償の有無、上限金額の設定

事例5:ドローン事故後に再発防止の社内訓練費用が発生したケース

橋梁点検専門の会社で、操縦経験の浅い担当者が機体を損傷させてしまいました。

発注元の国土交通省の担当者から安全管理体制の改善を求められ、外部の専門業者による操縦訓練と、安全管理マニュアルの見直しコンサルティングを受けることになりました。

事故後の操縦訓練費用・再発防止策の策定支援費用がオプション補償として付帯されている保険であれば、これらの費用が対象となる可能性があります。

ただし、補償対象となるのは事故発生後の一定期間内に申し込みを行ったものに限られる場合があるなど、条件が設けられているケースがあります。

保険で確認すべきポイント

操縦訓練費用・再発防止策の策定支援費用が補償対象か、申込期限の要件

建設業でドローン保険が特に必要とされやすい企業・業種

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ドローンを業務で使用するすべての建設関連事業者に保険の確認をお勧めしますが、以下の企業・業種では特にリスクが高く、補償の確認が急務と言えます。

対象となる企業・業種想定されるリスク見直しのポイント
橋梁・トンネル・構造物点検業者高所・交通量のある場所での飛行による対人事故リスク、機体ロストリスク賠償責任の支払限度額と捜索費用補償を確認する
土木・道路工事業者工事現場内外での通行人・近隣住民への対人・対物リスク工事保険との補償の重複・抜け漏れを確認する
測量・地形調査業者山林・河川・急傾斜地など過酷な環境での機体ロスト・損傷リスク捜索・回収費用補償の有無を確認する
建築工事業者(新築・改修)隣地建物・駐車車両への対物事故リスク、足場・クレーン等との衝突リスク対物賠償の補償対象範囲と限度額を確認する
解体工事業者粉塵・飛散物が多い環境での機体損傷リスク使用用途が補償対象に含まれるか確認する
官公庁工事の元請・下請け業者発注元からの保険加入証明・支払限度額の提示要件求められる補償条件(限度額・特約の有無)を事前に確認する

「ゼネコンへの見積提出の段階で、ドローン保険の加入証明書と補償限度額の開示を求められた」というご相談は、弊社でも近年明らかに増えています。

ファイナンシャルプランナー

現場に入る前に確認しておくことが、受注機会を逃さないためにも重要です。

加入前に確認しておきたいチェックポイント

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ドローン保険に加入する前、あるいは現在の保険を見直す際に、以下の項目を確認してみましょう。

まずは現在の保険証券と重要事項説明書を手元に出してみてください。

機体に関する確認事項

  • 業務用ドローンが現在加入している保険の補償対象に含まれているか
  • 機体の台数・重量・使用用途がすべて正確に告知・申告されているか
  • 保険金額(補償額)は機体の現在の時価額に合っているか(時価額より低いと補償が不足する場合がある)
  • 盗難・捜索費用・代替機レンタル費用など、必要なオプション補償が付帯されているか
  • 建設現場特有の飛行環境(高所・障害物密集・山間部など)が補償対象に含まれているか

賠償責任に関する確認事項

  • 賠償責任保険の支払限度額(1事故・1名あたり)は、発注元・ゼネコンが求める水準を満たしているか
  • 自社従業員だけでなく、外注・協力業者など機体を操縦する可能性がある関係者が被保険者に含まれているか
  • 示談交渉・争訟費用も補償対象となっているか
  • 「自社が所有・管理する財物への損害」が賠償責任保険の対象外となっていないか

既存保険との関係を確認する

  • 建設工事保険・請負業者賠償責任保険など、すでに加入している保険との補償の重複・抜け漏れはないか
  • 補償が重複している場合、一方からしか保険金が支払われないケースがあることを理解しているか
  • 機体の増台・新現場への展開・工種変更など、契約後の変更事項を速やかに通知する体制が整っているか
ファイナンシャルプランナー

まずは保険証券の『補償対象となる業務・財物の範囲』の欄を確認してみてください。

そこを見るだけで、ドローンの業務使用がカバーされているかどうかがおおよそわかります。

10分もあれば、補償の抜け漏れが見えてくることがあります」——そうお伝えすると、多くの経営者の方が「そんな確認をしたことがなかった」と驚かれます。

建設業のドローン保険を選ぶときに失敗しないためのポイント

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保険料の安さだけで選ばない

保険料が低い商品は、補償の上限が低かったり、適用される飛行環境・用途に制限があったりすることがあります。

建設現場でのドローン運用は、一般的な空撮や農業用途に比べてリスク環境が厳しいため、「自社の使用環境で実際に機能する補償か」を最優先に確認しましょう。

補償限度額・免責金額を現場の実態に合わせて設定する

賠償責任保険の支払限度額は、一般的に「1事故あたり〇〇円」「1名あたり〇〇円」という形で設定されます。

建設業では、公共工事の発注条件などで「1事故あたり1億円以上」の限度額を求められるケースも見受けられます。

限度額が低すぎると、万が一の事故で補償が不足する可能性があります。
また、免責金額(自己負担額)の設定も確認し、事故時の実際の負担感を把握しておきましょう。

飛行用途・工種・地域の変化に応じて保険を見直す

建設業では、請け負う工事の種類・地域・規模が年度ごとに変わることがあります。

昨年は建築工事が中心だったが今年はダム工事に参入した、といった場合、補償内容もそれに合わせて見直す必要があります。

保険は一度入れば終わりではなく、事業内容の変化に合わせて定期的に内容を確認することが重要です。

重要事項説明書・約款の内容を必ず確認する

パンフレットやウェブサイトだけでは確認しきれない除外事由・補償の条件は、重要事項説明書や保険約款に記載されています。

特に「補償対象外となる損害」の項目は、建設業での運用に照らして必ず確認してください。

事故発生時の相談体制も事前に確認する

万が一の事故のとき、スムーズに動けるかどうかは事前準備次第です。
加入先の保険会社・代理店の連絡先、事故報告に必要な書類、手続きの流れを現場担当者まで共有しておくことをお勧めします。

なお、賠償責任保険の中には、保険会社が被害者と直接示談交渉を行う「示談交渉サービス」がついていないタイプもあります。

その場合、保険会社の助言を受けながら被保険者自身が交渉を進める必要があります。

保険会社の承認を得ずに独断で示談締結をしてしまうと、保険金の一部または全部が支払われないケースがありますので注意しましょう。

よくある質問(Q&A)

建設工事保険に加入していれば、ドローン保険は必要ありませんか?

建設工事保険では、ドローン機体そのものの損害や、ドローンの飛行が直接原因となった第三者への賠償が補償対象外とされることが多い傾向にあります。

現在の建設工事保険の証券を確認し、「ドローンの飛行に起因する損害」が補償対象に含まれているかどうかを確かめることが先決です。

補償の抜け漏れが見つかった場合は、追加で加入を検討することをお勧めします。

下請け・協力業者がドローンを操縦する場合、元請けの保険でカバーされますか?

元請け側の保険で下請け・協力業者が被保険者として含まれているかどうかは、保険の設計によって異なります。

一般的に、保険証券の「記名被保険者」以外の業者が起こした事故については、補償対象外となる場合があります。

下請け・協力業者自身が加入すべき保険と、元請けが手配すべき保険の役割分担を、施工前に整理しておくことが重要です。

ゼネコンから賠償限度額「1事故あたり1億円」の加入証明を求められました。対応できますか?

賠償責任保険の支払限度額は、契約時に自由に設定することができます。

発注元が求める限度額の水準を満たした形で保険を設計することは、一般的に可能です。

ただし、補償限度額が高くなるほど保険料も変わりますので、発注元の要件を事前に確認したうえで、保険代理店に相談することをお勧めします。

現在の保険の限度額が要件を下回っている場合は、増額の手続きについても代理店に問い合わせてみましょう。

現場によって飛行エリアが変わりますが、保険はすべてカバーされますか?

保険が有効となる飛行エリアについては、契約時の告知内容によって異なります。

特定の現場・地域を想定した契約の場合、契約時と異なるエリアでの飛行中に事故が起きると補償対象外となる可能性があります。

複数の現場・広範囲の地域での使用が見込まれる場合は、契約時にその旨を正確に告知し、カバー範囲を確認しておくことが重要です。

機体が全損となった場合、同等の新しい機体を購入できる金額が支払われますか?

一般的に、損害保険金は機体の時価額(購入価格から経年消耗を差し引いた額)を基準として計算されます。

購入時の金額(新価)ではなく時価額が基準となるため、購入価格の全額が支払われるとは限りません。

高額な産業用ドローンを使用する場合は、保険金額の設定が機体の現在の時価額に合っているかを定期的に確認することをお勧めします。

航空法に基づく飛行許可・承認を取得していれば、事故でも補償されますか?

飛行許可・承認の取得は、法令遵守の観点から重要ですが、それだけで補償が確約されるわけではありません。

事故の状況・原因・契約の約款内容によって、補償の可否は個別に判断されます。

許可・承認の取得状況や飛行記録の保管は、万が一の際に「法令に従って適切に運用していた」ことを示す根拠となりますので、日常的な記録管理を怠らないようにしましょう。

ドローン事故の後に保険会社に連絡するタイミングは、いつが正しいですか?

事故または損害が発生したことを知った時点で、できる限り早く保険代理店または保険会社に連絡することが基本です。

遅延した場合、調査への支障や手続き上の問題が生じる可能性があります。

また、保険会社の承認を得る前に独断で示談を進めてしまうと、保険金の支払い対象外となる場合がありますので、事故発生後は必ずまず保険窓口に連絡することを現場のルールとして周知しておきましょう。

まとめ:建設業のドローン保険で押さえる3つのポイント

ここまで解説してきた内容を、3つのポイントに絞って整理します。

ポイント1:機体の損害と賠償責任、2本立てで備えることが基本

建設現場でのドローン事故は、機体が壊れるだけでなく、第三者への損害・賠償トラブルに発展するリスクが高い環境です。

機体に関する保険と賠償責任に関する保険の両方を組み合わせて備えることが、実務的なリスク管理の基本となります。

ポイント2:建設工事保険との「重複・抜け漏れ」を必ず確認する

すでに建設工事保険・請負業者賠償責任保険に加入していても、ドローン飛行に起因する損害がカバーされていないケースがあります。

まず現在の保険証券を確認し、補償の対象範囲を把握することから始めてください。

ポイント3:発注元の要件・現場環境の変化に合わせて保険を定期的に見直す

ゼネコン・官公庁からの加入証明の要求水準は変わることがあります。

また、請け負う工事の種類・地域・規模が変わるたびに、保険の補償内容が実態に追いついているかを確認することが重要です。

ファイナンシャルプランナー

現在加入している保険の内容に不安を感じる場合、または新たにドローンを建設業務に導入する予定がある場合は、保険証券や現在の契約内容を整理したうえで、保険代理店や損害保険の専門家に相談することをおすすめします。

この記事を書いた人

2010年に保険代理店「ほけんの王様」、株式会社キューブコンサルティング設立。

生命保険会社7社・損害保険会社8社・少額短期保険会社1社の取扱社数は18社。

経済産業省が選出する「健康経営優良法人2025(中小規模法人部門)」に認定。(2019年から7年連続)

2021年 中小企業庁 事業継続力強化計画 認定

保険営業担当者だけでなくライターもファイナンシャル・プランナーの資格を取得しています。

<監修者>
株式会社キューブコンサルティング
代表取締役 横田 正則

【保有資格】

ファイナンシャル・プランナー
AFP
損害保険トータルプランナー
宅地建物取引士
証券外部員一種
相続診断士
コンクリート技士

【専門分野】
生命保険全般、損害保険全般、FP相談

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